VOICARION_Ⅸ 信長の犬
藤沢朗読劇の観劇の機会が、
まさかこんなにも早く来るなんて、思ってもいなかった。
それも、帝国劇場で。
(ネタバレしてます)
9/5「仁」を観劇しました。
開演前の場内には、
落雷と雨音、時折犬の鳴き声と何かがきしむ音が流れる。
そして、井上宝さんの影ナレ。美声だしとても聞きやすい声…
◎本作は、博多座でも何回か公演されているものを、
再編成したもの。
というのも、今回休みなし約2時間以上の公演。
スタッフさんやキャストさん、本当に大変…。
でも、その分お話が途切れることなく、
信長の犬をとりまく人々の流れを見れたのは、とても見やすかった。
◎なんといっても、大きな劇場だからこそ
舞台美術と照明が映える!大きな帆が揺れたり、
南蛮の品物が並んでいたり、障子でキャストの影を出したり…
落雷や火災の迫力!
松明の明りの不安な感じ、灯篭の落ち着いた明り、
真っ赤な満月やトラの皮…
演奏隊の音!物語に寄り添い奏でる和楽器とベースとギターの調和。
盛り上げるところに、ちゃんと音をいれてくる、すげぇ人だ村中さん。
全体的に、ド迫力!な音と光という印象。
◎お衣装も本当にかっこいい…
公式ツイッターにて見れます、気になる方はぜひ。
!ここから各キャラ感想
◎シロ(笑)もとい信長の犬
やっぱり、ルシフェルは信長と一緒にいるときの、
幸せそうに、走り回っている場面が印象的。
それと対照的な、多門への説得の場面も、
ルシフェルの今までの事を思うと、胸が苦しくなります。
マントもらえて、本当によかったね…
瑠璃丸との掛け合いも、可愛らしい。
諏訪部さんのお声って、とても澄んでいる感じがしたなぁ…
お衣装も含めて、ぜんぶ、かっこいい!
◎信長さま
信長さまは、セリフがない時も信長さまだった、
座る姿もシルエットも、信長さま。
だれよりも風格がある人。
ルシフェルを自分と重ねる彼は、
犬であるルシフェルを、相棒と見ていたように思えるんだよなぁ。
天下取りの先に、世界を見てみたい、という彼の願望は、
意外性と、探求心の強い少年のような一面を見て取れる。
朴さんの信長姿は、お美しい…
そして、お方様の母性溢れる場面も必見。
◎秀吉さま
この作品で二番目のキーパーソン。
舞台上でもセンターに立たれています、
なんといっても、平田秀吉の演技の幅の広さに脱帽!
若かりし頃の、信長に憧れいていたころ、日輪のようなサル。
それが少しずつ、ちがう感情に変わって、
いつしか、孤独な天下人になっていく、そのしぐさと目くばせ、雰囲気。
あぁ、これがベテランの役者さんなんやなぁ…
公式が怖い、と表現していたのも納得です。
信長さまになりたくて、ルシフェルを〇〇にする、
と利休に図星つかれる場面、ぞぞっとした…
◎明智さん
本作で一番の被害者…?
光秀が笑ったことを秀吉や信長さまに指摘されたり、
3人で馬に乗って駆け回る場面を見た後の、
彼の転落していく姿を見ると、心にくる…
あと、他の役も演じます、
不気味な雰囲気が凄かった…
本能寺の場面でさえ、信長に説教されつつも、
刀で討つと宣言する松岡さんの光秀は、まっすぐで切ない。
◎千利休
上三人のやりとりを、見届けた人。
秀吉との掛け合いが、心に来る…
あと、瑠璃丸と多門の父も兼ね役ですが、
とても大事な役どころ。
キャラの演じ分け、お衣装が一緒でも
そのキャラに見えてしまう井上さんの表現力がすごすぎる。
◎太田資正
わんちゃん大好き、城主のお仕事多門に任せっきり。
でも、信念を貫き、物怖じしない、まっすぐな人。
わんちゃんと戯れるときの安元太田の笑顔が素敵!
愛情たっぷり可愛がる姿に、
瑠璃丸への長生きしてほしい、という願いと、
でもいつか別れが来る、
と知っているところが切ない…
多門との絆が深いのも、特筆したいところ。
◎瑠璃丸
太田の犬、御年17歳のご高齢。
彼は、ルシフェルにいろんなことを教えてくれます。
太田のことが大好きで、
たくさん撫でてほしい、とねだる井上瑠璃丸の姿が愛らしい。
たくさん愛してもらって、幸せそう。
だからこそ、最後の瑠璃丸のシーンが泣けてくる。
◎野口多門
わんちゃん嫌い、太田のお世話に大忙し。
でも、彼は主を大事に思う熱い人。
太田とのやりとりを見ていると、どっちが主人か分からないw
でも、それでも成り立つ関係だから、見てて楽しい。
秀吉に家臣にならぬか、と聞かれて
大人の対応しつつも熱くお断りし、主をたてる梅原多門。
ルシフェルとのやりとりの変化も、面白い。
◎お話全体を通して
時代劇や歴史に詳しく無くても、
すっとお話の理解ができる、
お話も分かりやすくて、とっつきやすい。
おうちで動物を飼った経験のある人なら、
同感する場面がたくさんあるはず。
◎追記(2020.8.6)
台詞がない時の役者さんは、
それぞれのポーズ?があるのかと思いました。
信長さまの足をかけてゆったり座った感じ、
太田さんの視線を下手側に向け台本を読む姿…
そして最後の場面は全員正面を向いている、
これも演出合わせたのかなぁ?
長々となってしまいましたが、
本当に久々の観劇。
それだけでも感激なのに、
声優さんが帝劇で芝居する、という素敵な場面に立ち会えたこと、
本当にラッキーだったと思います。
こんどは!女王で会えるかな?