darsのメモ帳

アニメや演劇など書いていきます

ホテル宿泊1007

いつか宿泊したい、という願いが叶いました。

もうそれだけで、胸が一杯なのに、

さらに笑って泣いてで、もうめまいがしそう。

そんな素敵なホテルに行ってきました。

シアタークリエでの観劇、

本当に念願でした、あのサイズの劇場で、

朗読、歌わないミュージカルを観るとは、

なんて贅沢。

お陰で数日は魂だけホテルに飛んでました、

夢見心地でした。

 

 

久々の観劇で、もう違う感情が自分の中に溢れてきている中、

どうにか開演時間前に着席できました。

 

もう目の前の幕からオーラが出てる、

高級そうで重たそうな、深い赤色のおしゃれな緞帳。

雨の音と劇場アナウンスは、この作品シリーズの代名詞。

今回もアナウンスいい声だ…

 

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1幕、

幕が上がると、目を引くのは大きな時計に蠟燭台、金の額縁。

馬車に乗るお綺麗なマダムと艶っぽい召使が、

舞台となる「夢が叶うホテル」に向かいます。

 

可愛らしい客室係と、凛々しいコンシェルジュのやり取りが軽快、

漫才のようにポンポンと面白いやり取りをする中、

マダムたちが到着します。

明らかに、不思議で訳ありそうな二人。

ここでコンシェルジュと召使はお互いの存在を見て、

何かに気づきます。

 

そんなことは知らず、マダムは陛下ごっこに興じます。

マダムは最上級の部屋をさらに最上級に仕立て上げていきます。

この時に背景に出てくる赤いカーテンが目立つ、華やか。

客室係はマダムに振り回される中

(この二人のやりとりが、可愛らしいし面白い!)、

コンシェルジュと召使はお互いの再会を喜び、

自分たちの現状に落胆し、

過去の華やかな時を思い出します。

この場面はとても切ない。

お互い没落貴族、亡命して苦しい時を過ごし、

どうにか今を生きている事が、二人の話で分かります。

そんな話の流れで、マダムの陛下ごっこに付き合ってくれ、

と言われたコンシェルジュ

 

最終的には、陛下のお気に入りとなる客室係も巻き込んで、

ごっこ遊びをするのですが、マダムには大きなヒミツがありました。

 

マダムが回転木馬を見て、気絶してしまいます。

彼女の意識の中では、

戦争の音、光、舞台効果の煙、「ミニーおばあさま」と呼ぶ声がします。

緊迫した状況の中、マダムは女の子の名前を呼びます。

「アナスタシア」と。

 

この秘密が明かされた先の展開から、

がらっと雰囲気が変わるのが好きです。

朗読なのに、話の雰囲気も自在に操れるって、すごい事です。

 

******

 

2幕、

召使はマダムの事、そして彼自身の野望を話します。

マダムは元皇太后、そして自分はマダムの財産を、

困窮している祖国の元貴族へ渡したい、という野望を語ります。

それにコンシェルジュは同意します。

客室係が、そんな話に乗る人だとは思わなかったと話しますが、

コンシェルジュの意思は強い。

彼には、今も困窮する元貴族たちを助けたい、

という意思を強く持つきっかけがありました。

 

祖国で暴動が起き、家族を殺された伯爵と子爵。

人望の厚い伯爵に、他の貴族への亡命の手助けをしてほしいと頼む子爵。

この部屋が恋しいと嘆きながら、暴動の中に消えた伯爵と、

皇帝家族を救い出そうとした元子爵。

二人は離れ、互いの目的に奔走しますが、

互いに壮絶で苦しい10年を過ごします。

伯爵は子爵の便りを待ちます。

10年、とても長い月日だったでしょう。

 

そして、伯爵はノーと言わないコンシェルジュ

子爵は訳ありマダムの召使として再会します。

 

陛下とコンシェルジュ二人の場面は、

とても胸が締め付けられる思いになります。

ロマノフの復興を夢見ているコンシェルジュに、

陛下の会話の中から、忘れたはずの思い出が蘇ってきます。

一度お会いしている事をコンシェルジュが伝えても、分からないという陛下。

忘れたはずなのに、とコンシェルジュが声を殺して言う言葉が重い。

 

客室係と召使が王家の客室を捜索し、

財宝のヒントを得ます。

それは、陛下のお孫さん「アナスタシア」でした。

彼女自身になれば、陛下の財宝の相続権を得られる、

という話なのですが、

ここに客室係にも大きなヒミツがありました。

ここのヒミツがばれてギャーギャーやる3人が面白い!

 

そして、2幕の大詰め。

陛下とコンシェルジュ、召使と客室係の場面になります。

召使と客室係は、ダンスのレッスン

(ミラーボール登場!)。

陛下とコンシェルジュは、

陛下からピアノをもう一度弾いてほしいと言われる場面。

悲しい曲を弾くコンシェルジュとそれを聞く陛下、

ダンスの優雅な雰囲気の召使と客室係、

場面は行ったり来たりします。

客室係は、いつもと違う雰囲気の召使に、怯えながら

「まるであなたは貴族みたい」と言います。

はっと気づくマイカは、ダンスのレッスンを中断します。

 

ピアノの曲はどんどん曲調が悲しく厳しく激しくなっていきます、

何か辛い思いをさせていると察する陛下、

もうおままごとをやめようと言う陛下に対し、

陛下、陛下と泣きじゃくりながら自分の本当の名前を明かすコンシェルジュ

あなたをこんなにも苦しめてしまった、と後悔し、

明日このホテルを発つことを陛下が言いますが、

コンシェルジュは部屋から飛び出してしまいます。

 

彼はホテルの屋上にいました。

コンシェルジュさんのいくつもある隠れ場所のうちの一つ。

パリのキラキラ金色に光る夜景を見ながら

(背景もキラキラしていて綺麗だった!)

客室係は孫に先立たれたおばあちゃんを騙したくない、と

泣きながら言ってきました。

それを見たマイカも、もう終わりにしようと言い出します。

自分を騙すのはやめよう、客室係のこのセリフが印象的です。

 

帰り支度をする場面、

もう陛下ではなくマダムでと話しながら、

3人が探していた財宝の名前は、

孫への思いを込めたものだった事を明かすマダム。

そのことを知り、自分は愚かだったと後悔するマイカ

マダムは、客室係にドレスをプレゼントします。

それはアナスタシアへ贈る為に仕立てたドレス、

こんな大事なもの受け取れないと客室係。

そんなやりとりの中、コンシェルジュが今宵ディナーをプレゼントしたい、

と申し出が。

客室係と同席したいと仰るマダム、さわやかなお顔だった。

 

(ディナー、を検索すると夕食が出てくるし、

ディナー 貴族、で検索するとチェーン店が出てくるので、

正しい意味は分からないけど、)

このディナーは、舞踏会の類義語。

そこには貴族の恰好(洋服はオペラ団の服)をした、

ホテルの従業員(みんな元貴族のロシア人)の姿。

蝋燭台の明かりもつき、舞台上が一番華やかになります。

なつかしさと嬉しさのあまり、笑みがこぼれるマダム。

マダムは、コンシェルジュに初めて会ったあの時を思い出します。

男の子がピアノを弾いてくれた、あの子。

洋服に刺繍があって、それが女の子みたいで嫌だったと言う、

アレックスの笑顔と、それを見てほほ笑む陛下。

 

そして客室係が登場します。

マダムからもらったドレスを着た客室係を見て、

彼女を抱きしめるマダム、

なんで会いに来てくれないの?と彼女に言うと、

エレオノーラは

「毎晩会いに行っているけど、ぐっすり眠っているから起こせなくて」

と、マダムに伝える。

「ミニーおばあさまが大好き」

それはアナスタシアを演じているけど、

マダムを幸せにするには十分すぎる一瞬でした。

 

翌日。

アレックス、エレオノーラ、マイカは別れを惜しむけど、

3人とも晴れやかな表情。

陛下の後ろ姿を見て、お綺麗だと言うアレックスのマイカの気持ちが、

とてもよくわかる、わかるぞ!

ドアを開けると従業員一同が待っていて、

舞台上が最高に明るくなる場面。

ご出立の号令を伯爵、かたじけない子爵殿、

そしてご出立の号令に、3人が陛下と声をかけ、

陛下はお気遣いの言葉を述べる。

ステージは逆行の光に包まれ、それは朝日のように輝いていて、幕が閉じます。

 

******

 

あれ、感想書くはずなのにあらすじ書いているぞ。

えー、ここでキャストさん別感想!

 

陛下もといマダム、

もうなんたってお美しいし優雅。

そしておちゃめ!

エレオノーラとアレックスのやりとりをクスクスと笑いながら、

見ている所を目撃して、あぁ陛下だーって思ってしまった。

キャストの名前呼ぶ時が、とてもお茶目だったなぁ、

本当に美しい皇太后でした。

下に降りてきて挨拶してくださったとき、

アレックスにエスコートされてる!

とってもとっても、素敵でした…。

 

エレオノーラ!

君の天真爛漫な笑顔と、

誰かを悲しませる事はしたくない、と泣く場面に、

自分は毎回心を打たれてしまいます。

こんな大変な3人に囲まれて、大変そうだけど、

あなたが一番のペテン師だった。

ドレス姿で現れるとき、

不思議とドレスが見える気がするマジック。

おばあさま、の所で毎回泣きます。

笑わせようとしてくるサービス精神、いいね!

 

イカ青二才がこんなに色っぽい青年になるとは、

って自分はおばちゃん感覚で見ていました。

苦労人、でもホテルに来れて本当に良かった。

セリフを受ける姿も色っぽいし、

ダンスの切り替え演出はいつもズルいし、

でも一番彼にとって大事なシーンで、

すっごく優雅に演じられて、ドキドキでした、

夢見心地でした。

 

アレックス、ほんとうに大変だったんだろうな。

だってノーと言わないコンシェルジュをして、

ホテルの経営をしていったんでしょ、すごい人…

そんな大人なすごい人が、子どものよう泣きじゃくる姿、

自分のことを思い出してもらって嬉しがる姿が、

対照的だからこそ、印象深く見える。

灰色の燕尾服、オールバックのキレイな金髪、

ゆったりと足を組み台本に目を落とす姿。

陛下をエスコートするところなんて、もう、さ、

かっこいいに決まってるやん。

 

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去年の配信で、いろんなキャストさんの組み合わせを見て、思ったことが一つ。

 

同じ台本なのに、なぜこんなに役者さんそれぞれの個性が輝くのか、

ということ。

それは役者さんの技量と持ち味を生かした、

演出家さんの腕の良さなんだろうなぁ。

 

キラキラした声とオーケストラの音、

幻想的で少し暗い照明に、

とても美麗な衣装と、華やかな舞台美術。

音楽と一緒にセリフが重なり、

観客の感情を、どのチームもこれでもかと揺さぶってきます。

 

音源だけでも、陛下たちの物語は本当に素晴らしいのですが、

劇場での生の体験は、やはりインパクトが大きい、大きすぎます。

 

ですが、本来の演劇はこんな感じでした、

すっかり忘れていました。

 

本当に素敵な時間をありがとうございます。

どうか、せめて、CDは出してほしい。

欲を言えばブロマイド舞台写真見たいです東宝さん!